〜地球から脱出するまでの日々の記録〜

2016/02/04

「第三の性を目指す」という新たな道



26才男性、生まれて初めて化粧道具を買う。

初めて、自分の化粧道具を買った。
化粧品コーナーの鏡に写っているのは、
今年で26才になる男性。
「第三の性を目指す」という新たな道に高揚していた。


―Yuさんがメイクするようになったとお聞きしましたが、最近になって興味をもたれたのですか?

Yu:実は昔から興味があったんです。姉の化粧道具を勝手に使ってみたり、そういう少女マンガを読んだり。高校生のころ文化祭に女装したときとかすごく楽しかったのを覚えています。ファッションも中性的なものがずっと好きでした。なので、メンズ服をなかなか好きになれなくて辛かったですね。「なんでこういうデザインしかないんだろう…」って。当時の親友に相談しても「男なら男らしい服着ろよ」と否定されたのを今でも忘れません笑


―自分は中性的になりたい願望がある、というのは自覚はありましたか?

Yu:少しずつ気付いていった、という感じです。自分が女性になっている夢を何度か見たり、生えてきたヒゲが本当に嫌だったり、男性特有の下ネタMAXのハイテンションだけの話よりも、女性と話しているほうが楽しかったり。あ、女性から「性欲あるの?」って言われたときもありましたね。アートセラピーをしたときも、その中性的になりたいという傾向が顕著に出ていました。でも、どこかで忘れようとしていましたね。

―忘れようとしていた?


Yu:はい。こんな願望を持つ自分はおかしいんじゃないか、弱い人間なんじゃないか、逃げているだけじゃないのか、と思っていました。もともと人に相談しないタイプなので、誰にも言えず、ひたすら溜め込んで葛藤していました。いま思えば、まともな人間を演じていたと思います。

―その葛藤のなかで、自分の願望を叶えようと思ったきっかけはなんですか?

Yu:これまでの積み重ねだと思いますが、決定打になったのは、去年(2015年)の11月に事故を起こしてしまったんですね。初めてでした。駐車場でバックをしたときに、他の方の車にドーン!と。幸いケガ人はいませんでしたが、たまたまその日だけ知人から借りた車ということだったり、仕事の最中だったりで、パニック状態でした。そして、おかしくなりました。

―おかしくなったんですか?笑

Yu:はい。完全に自分の責任で、多くの人に迷惑をかけた。言い訳しようがない、このまぎれもない事実が、自分にのしかかって。本当にいやで。この世界からいなくなりたいって思いました。謝罪する当日も、なかなか布団から出られず、うなっていました。


―失礼かもしれませんが、結構大げさですよね。

Yu:いや、ほんと、そう思います。自分でもなんでだろうって思って。その感情を掘り下げていったら、父の存在があったんですね。罰を与えられる、怒られるって怯えているんです。無意識の刷り込みってこわいもので。小さいころに、兄弟で誰か一人が悪いことをすると「連帯責任だ」といって、竹刀で一人一人を叩かれたんです。5人組ならぬ4人組制度です。ある日は、外へ閉め出されたこともありました。今は、父とはすっかり仲良いんですが、その体験が根強く残っていて、失敗すること、はみ出すこと、人と違うことをすること、指をさされることが過度に恐ろしくなっていたんだと思います。それが、その後の人間関係においても影響が出て、他人になかなか心を開けませんでした。

―なるほど、無意識に眠っていたものに気付かれたんですね。

Yu:罪を認めたくなかったんですよね。イコール怒られる、ですから。「他人に迷惑をかけるな」が家訓でしたし。こうあるべき、という見えない強力なとらわれに気付いて本当にびっくりしました。美しい世界を見るには世界から離れなければならないの話にもつながるのですが、どうすれば罪を認めて、自分をとらわれから解放することができるのだろうかと。そこで思いついた行動が、あえて恐怖の先に踏み込む、でした。

―あえて、恐怖の先に踏む込む。

Yu:自分が最も恐れているのは、失敗すること、はみ出すこと、人と違うことをすること、指をさされること。だったら最初からそういうように振るまえばいいんじゃないかって。自分を守ろうとするから、かっこつけて隠すから大変なんだって。

―逆転の発想ですね。

Yu:そうですね。そこで、何か蓋のようなものが外れて、「あ、メイクしたい、脱毛したい」ってなって。そこからは自分でもびっくりするぐらい行動を起こしちゃって。その日のうちに脱毛の予約をしました笑 



―踏み込んだ結果、世界が開けた。

Yu:半端なく。人にもどんどん会いたくなって。非難されても笑われてもいいやって。自分を守る殻がなくなったから、世界が見えるようになって、やりたいことが次から次へと思いつくんですよ。今まで、いかに自分中心だったか、視野狭窄だったかを思いしらされました。

―ブレイクスルーってやつですね。新たな境地に達したわけですが、今後はどういうことをしていこうと考えていますか?

Yu:第三の性をもっと極めていきたいですね。あ、恋愛対象は女性ですよ?あと、男の娘みたいに可愛くとかは興味ないです。男らしくとか女らしくという二元的ではない、その間の存在として、自然体でありたいと思っています。仕事に関しては、越境者として、融合者として、地域や組織を横断的に動きたいです。多様な価値観を認める自分が媒介となり、関係の促進を行うことで価値を作り出したいです。あとは、変わったときの感動を知ってしまったので、変革を担っていきたいですね。変化を恐れずに楽しむこと、それが自分の役割だと思っています。

―これからのご活躍、 応援しております。ありがとうございました。

Yu:ありがとうございました。


produce by Yu Shimawaki 
インタビュー・テキスト 嶋脇 佑 撮影:嶋脇 佑

 メディアディレクター/フォトライター
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